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 『Outdoor』 連載バックナンバー 
 

 ◆ 第19回 オイラ流釣り自慢!の巻 ◆

釣り坊主  ちまたの釣りキチたちは、やれ7キロのタイを釣っただの、尺モノのアユを釣っただのとのたまい、じつに次元の低い自慢をするものである。あー、やだやだ。セコいなー。小さいなー。
 そこへゆくとオイラはスケールが違う。グローバル且つワールドワイドな視点から見ても、じつにユニバーサルなのである。
 そこで、海川をわが水槽とするオイラのグレートな釣り歴を高次元な見地から自慢してみますゆえ、とくと読んで今後の参考にしてくだされぃ。まずは海編どす。

スズキ(推定80センチオーバー)

 沼津の漁港付近で。
 ルアーで掛けたんだけど、20分以上粘られた末、ブチッとやられました。ハハッ。まぁ、ひとりだったんで、取りこみに苦労したのが敗因です。だれかがネットさえしてくれたら、「楽」に上がっていたでしょう。繰り返しますが、「楽」に上がっていたでしょう。
 なんせ腕は超一流なんですから。

イシダイ(推定7キロオーバー)

 伊浜で。ヤドカリエサに来ました。とにかくスゴイ引き。十数分の格闘の末、姿が見えた瞬間にやられた。見るとワイヤーの結び目から切れていた。……ワイヤーが切れちゃあ仕方ありませんな。同行者いわく「惜しい。6キロはあった」。まぁ、決してそんなサイズってことはなく、まず間違いなく7キロ以上はあったでしょうな。で、なきゃ、このオイラが釣り逃がすなんてことはないんですから。

イセエビ(ぷちバルタン星人級)

 遠州灘のマル秘ポイントで。
 釣り弟子の佐藤君を連れていったのが運の尽きでした……。
 その日は第1投からとんでもない引き。その引きのあまりのスゴさに「ひょっとするとウツボかな?」と思っちゃったもんです。だから僕も佐藤君も油断したのかもしれません。水面近くに上がってきたときに、ヘッドライトに照らされて輝くふたつの目。なんと、イセエビちゃんだったのです。それもとてつもない大きさ、そう、それまで上げたいちばん大きいヤツの倍はありそうじゃあないですかっ!

 「オーイ、佐藤君っ! ネット頼む、ネット、ネット」
 「へっ? ウツボじゃなかったんスかー?」
 「……」

 この会話からすべてをお察しください。
 ハハッ、まあ、間違いなくこれまでで最高のデカさ、すなわち2キロ、いや3キロ級だったと、言っておきましょう。

クロダイ(絶対55センチ以上)

 富士の蒲原で。
 オキアミに食いついた。そのデカイのなんの。2号の竿がぶち折れるかと思ったものです。やはりさんざん粘られて、サ・ヨ・ナ・ラ。
 糸は切れなかったけど、鉤が信じられないくらい曲がっておりました。
 長いことクロダイやってきたけど、鉤をぶち曲げてったヤツは初めてでございます。逃げる瞬間姿が見えたけど、軽く50オーバー、というより60センチ近かったことをご報告しておきましょう。
 ハハッ、まぁ、鉤が曲がっちゃしょーがねーですな。まさに形あるもの、いつかは壊れるってやつですな。

シイラ(とにかくデカイ)

 伊豆の大島でトローリング中に来た。
 タックルは大丈夫だったけど、オイラが船に酔ってゲロゲロ状態だったのが災いして、バラシてしまいました。
 それにしてもゲロゲロで瀕死のオイラにやらせた船長も船長である。腹抱えて笑ってやがったあの顔は一生忘れないことでしょう。

 しかし、ジンゲンだれしも過ちは犯すもの。ここはひとつ広ーい心で……。
 許せるわきゃ、ねーだろー!
 バッキャロー。あー、だんだん腹立ってきた。ジグジョー。川編に行くのがいやんなっちゃった。だいたいスズキにしても、イシダイにしても糸がもっと強けりゃ釣れてんじゃねーかー。クロダイだって捕れてたぜぃ。あーグヤジー。シイラだってオイラが万全の状態なら、絶対仕留めてるはずである。だれがなんといったってそうである。だいたいオイラの腕は超一流なのだ。
 竿を握らしゃ日本イチだあ♪
 オイラは名人だーっ!
 あー、スッキリしたー。んじゃ、スッキリしたところで川編に行かしてもらいます。

イワナ(50センチ以上。魚止めの主!)

 八久和川で。こいつを最初見かけたときはぶったまげた。潜水艦かと思ったもんです。イワナにしてもヤマメにしても、40センチ台ってのはたまーに出る。ところが、50センチとなると話は別。世界が違う。次元が違う。引きも重さも、ぜーんぶ違うのであります。
 オイラは震える手で、ドバミミズを投入した。ヤツはエサを入れて一発で来たものです。
 不思議なことに、そこからの数十分間の記憶がございません。思い出そうとすると、激しい頭痛にみまわれるので、これくらいにしておきます。
 しかし、翌年、同じ八久和川でみごと、カ・タ・キをとることができました。オイラの名誉に懸けて、ご報告しておきます。
 さすが、オイラである。

ヤマメ(これまた50センチ以上! サクラマスじゃないんです)

 梓川で。9月に入り、湖からの遡上モンを狙いに行ってみごと掛け……ませんでしたが似たようなものです。しかし、このあたりからまた急性記憶喪失症にかかり、そこからがまったく思い出せないのです。
 その後、モリを持って敵討ちに行ったのは「モグリ坊主」編に書いてあるとおりです。
 まっ、オイラもたまには敵をとり損なうってこともあるということをご報告しておきたいと思います(もう二度と行かん。死んじゃかなわん)。

ウナギ(推定物干し竿の太さ)

 富士川で。またまた釣り弟子の佐藤君といっしょ。
 アユ餌に食いついてきました。スゴイ引きに腰を抜かしていると、ランディングしようとした佐藤君も腰を抜かしておりました。まさかあんなにデカイとは……。
 腰の抜けたふたりがボー然と大ウナギを見送る図はたいへんプリテーだったことでしょう。

コイ(メーターオーバー?)

 富士川と天子湖で。
 お得意のスイカを混ぜたマル秘エサに来た。どっちも超デカかった。リールがビュンビュンうなったもんでございます。まぁ、上がらなかったのは竿とリールのせいなのは明白なのですから、気ーにしないっと。それよりも、オイラのマル秘エサに来たっ、てことが重要。
 釣る、釣れないはオイラぐらいになると関係ないのであります。

 でもクヤシー。すごくクヤシー! だいたいイワナは糸がもっと丈夫だったら釣れてんじゃねーかー。ウナギだって、佐藤君が腰を抜かさなきゃ捕れてたし、オイラはちっともわるくないのである。
 周辺機器さえしっかりしてれば、明日の幸せを釣り上げてたんだあ♪
 あー、ヂギジョー。クッソー。
 オイラは名人だーっ!
 あー、すっきりした。んじゃ、ここでひとつ特別編を。

アオリイカ(大王クラス)

 あれは、女房に内緒でためたお金で買った竿を試しに、佐藤君とアオリイカ釣りに行ったときのことでございます。
 佐藤君に最初のアタリが来た時点で、その日の異変を察知するべきだったのでしょう。

 「シ、シショー、デカイっスーっ!」

 凡人でしたら「バラせー」と祈っちゃうところでございましょうが、そこはオ・ト・ナのオイラ。

 「ようし、落ち着けー。オレがすくってやるから」

 とかなんとか言っちゃうのでございます。
 そしてタモを持って待ち構えていたそのときです。後ろで「ガー」なんて音がするので振り向くと、な、なんとワタクシめの竿が離陸寸前じゃないですか! ワタクシの竿にアオリイカが来ており、そいつが思いっきり竿を引っぱってるのです。
 ウォー、とばかり佐藤君を捨て置き、あわてて飛んでったけど、時すでに遅し。おニューの竿は防波堤を飛び立ち、太平洋へと一直線。美しい放物線を描いて、海の彼方へと消えていきました。ボー然と立ち尽くし、その場で固まっていたら、

 「シショー、何してるんスかー。早くすくってくださいよー!」
 「……」

 しぶしぶすくうと、これがまた皮肉にも2キロクラスのジャンボサイズ……。

 「いやー、師匠。どうっスかー。やっぱ、こんくらいのを釣らなきゃね。ガハハ、デカイ、ガハハハ」

 ・・・ケッこれだからシロートは困るぜ。オイラの竿を持っていったイカ太郎こそ、100キロ以上はあったんだからよお。

 まっ、以上がオイラの釣り自慢である。やっぱ、このくらいの自慢をしなきゃダメである。「釣った」「捕った」なんてのはまだまだ青いのである。繰り返し言うが「釣った」なんてのは小さいのである。なにしろ地球がオイラの水槽なのですから。
 オイラくらいの名人になれば、こういう次元の高い自慢をするのである。
 がははは……はは。
 ……虚無。

(書き下ろし)

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